家庭菜園・果物の栽培

【初心者】レモンの栽培・育て方(肥料・剪定・摘果など)

レモン栽培と聞くと果樹園で育てているイメージが強く、一般家庭でも広い庭がないと育てられないと思われるかもしれません。

実は鉢植えでも十分育てることができ栽培も簡単なことから、家庭果樹の入門としても人気を集めています。

そんなレモンの育て方について、初心者の方にも分かりやすく紹介します。レモンの木の剪定や気になる病害虫についてもまとめているので、ぜひ参考にしてください。

レモンの基本情報


レモンは自家受粉のため品種問わず1本で実がなります。1本から気軽に栽培をはじめられるのが嬉しいですね。

1~2年目は収穫を見送り、まずは丈夫な木を育てることに注力しましょう。接ぎ木苗であれば3~4年目で充実した実を収穫できるようになります。

レモンは耐寒性に弱く、最低気温が-3℃を下回ると木が枯れる可能性があります。冬の寒さにあたると葉が落ちてしまい、翌年の収穫量にも影響します。

レモン栽培の北限は?寒冷地での栽培ポイント

近年、温暖化の影響でレモンの栽培可能地域は広がりつつあります。北限は栽培条件にもよりますが関東地方の平野部までといわれています。

雪の降る地域でも上手に育てるポイント

鉢植えで栽培
鉢植え栽培であれば冬の間は屋内へ移動できるので、管理がしやすくなります。

防寒対策を行う
屋内での管理が難しい場合は、株元にワラを敷くか寒冷紗で株全体を覆うなど、しっかりと防寒対策を行いましょう。

耐寒性の強い品種で育てる
品種によって耐寒性の強弱がありますので、品種選びも重要となります。
耐寒性に強い品種:リスボン・マイヤーレモン

レモンの栽培暦

レモンは四季なり性が強いため、長い間花や収穫を楽しめます。夏から秋にかけて甘い香りを放つ白い花を咲かせ、秋から春にかけて収穫の最盛期を迎えます。

植え付け・植え替え時期:3~4月
防寒対策:12月~3月
剪定時期:2月~3月
収穫時期:10月~4月
開花時期:7月~10月

レモンの栽培方法

畑や庭で育てる地植え栽培

土の中で十分に根を張れるので、木が大きくなり収穫量も増えます。温暖地で栽培スペースを確保できるようであれば、ぜひチャレンジしてみましょう。

地植え栽培であれば植え替えも不要で、水やりの回数も少なく済みますよ。

室内でも育つ鉢植え栽培

鉢植え栽培なら、ベランダや室内でも栽培できます

植木鉢は、深さがあり直径30cm以上のものを選びます。1年生では8号以上、2年生なら10号以上を目安としてください。

実がつくと重さを増して倒れやすくなるため、プラスチックのような軽い素材は避けましょう。

鉢植えの場合、基本的には3~4年に1度植え替えを行います。生育状況に合わせて鉢を大きくすることで根詰まりを防ぎ、通気性も良くなります。

レモンの育て方

土づくり

レモンは弱酸性で排水性の良い土を好みます。用土をご自分でブレンドされる場合は、赤玉土(小粒)7:腐葉土3の割合で混ぜ合わせて使いましょう。

初めての方は、果樹用培養土の利用をおすすめします。果樹用培養度は種類によって様々ありますが、排水性の高いものを選ぶと安心です。

種から育てる

園芸店などでレモンの種が見つからない場合は、市販されているレモンの種からでも育てられます。外側のヌメリや硬い皮を取り除き、一晩水につけておきましょう。

水に浮いた種は取り除き、ぬらしたキッチンペーパーの上に並べます。発芽まで乾燥させないよう注意して下さい。

ただし実を収穫できるようになるまでは約5年以上かかるため、レモンは苗木からの栽培が一般的です。

苗木から育てる

苗木の良し悪しがこれからの生長を大きく左右します。購入の際は次の項目に注意して、丈夫な苗木を選びましょう。

  • 幹が太く、芽や葉がたくさんついている
  • 葉の色が濃くツヤがある
  • 葉や根に病気や害虫被害がないもの

初心者の方にはある程度育った2年生以降の苗木から始めると、より早く収穫できるでしょう。

植え付け

苗木より一回り大きい植え穴を作り、苗木の根鉢を崩し根を広げながら埋めていきます。接ぎ木部分埋まらないよう浅植えにしてください。

土を被せた後は根つきが良くなるよう株元を軽く押さえ、水をたっぷりと与えましょう。まだ根が十分に張っていないうちは、風で倒れないよう支柱を立て固定します。

水やり

土の表面が乾いたらしっかりと水を与えましょう。水切れを起こすと葉が落ちてしまうので注意が必要です。

地植えの場合植え付け1年目は定期的に水やりを行いますが、2年目以降は自然任せで育ちます。夏場の晴天が続く日に水やりする程度で良いでしょう。

鉢植えの場合は乾燥しやすいので、夏場は1日2回水やりをします。冬場は週に1回ほどで問題ありません。

肥料・追肥

美味しい実をつけるため、たくさんの肥料が必要となります。地植えと鉢植えともに3月・6月、11月ごろに追肥を行いましょう。

肥料はゆっくりと効く暖行性化成肥料を与え、一年を通して栄養が行き渡るようにします。葉の色が悪い・樹勢が弱い場合は液体肥料が効果的で、2週間に1度のペースで与えます。

剪定

剪定することで樹の形を美しく整えるだけでなく、花や実つきが良くなり美味しいレモンを収穫できるようになります。

苗木が小さいうちは不要ですが、2年目以降は剪定を行いましょう。

幹を基本とし元気の良い枝を3本程度残し、それ以外の枝を落とします。特に下を向いている葉の枝から優先的に剪定してください。

枝を適度に間引くことで、株の内側まで日光があたり風通しが良くなります。

摘果

先述したとおりレモンは四季なりのため、春・夏・秋に実をつけます。しかし全て実らせてしまうと株が弱る原因となるため、春実・夏実は全て摘みとってしまいましょう。

これを摘果といい、余分な果実を摘み取ることで充実した実を収穫できます。収穫のメインとなる秋実は、葉が20~30枚に1果程度になるよう摘果します。

収穫

レモンは開花から6ヶ月ほどたった頃に収穫時期を迎えます。直径が5cmぐらいになり、皮がごつごつとした手触りからなめらかになったころが目安です。

熟しすぎると香りや酸味が飛んでしまうので、緑からやや黄色に色づき始めたころがベストタイミングです。青い未熟な果実でも香りが高く、爽やかな酸味を楽しめます。

レモンの木に発生しやすい病気・害虫


果樹を育てる上で避けては通れない病害虫問題ですが、早期発見と対策で被害を最小限に抑えられます。

病気

カイヨウ病
葉や果実がこすれあってできた傷から感染する病気です。カイヨウ病になると葉や実に斑点ができ、木から自然に落下します。

風が吹き付けない場所で管理し、長いトゲはなるべく取り除いてしまいましょう。

害虫

アゲハチョウ
レモンにとって一番厄介な害虫です。5月ごろになるとレモンの葉に、1mmほどの黄色い粒の卵を産み付けます。

アゲハチョウの幼虫はレモンの葉を食べつくしてしまうため、卵を見つけたら早期に駆除しましょう。

カイガラムシ
葉や枝に丸く白い塊をつけるカイガラムシは、美観を損ねるだけでなく吸汁により木を枯らしてしまいます。

木の内部の日当たりや風通しをよくすることで発生を防げます。見つけたら歯ブラシなどでこすり落としましょう。

レモン栽培のQ&A

レモンの木の大きさは?どれくらい大きくなる?

レモンの樹高は2~4mほどといわれています。剪定時に生長点を切り取ってしまえば、2mほどで管理できるでしょう。

小さく育てたい方には、鉢植えでの栽培がおすすめです。根を広く伸ばすことができないので、必然的にコンパクトサイズで収穫を迎えます。

レモンの実がならない!原因と対策は?

レモンの実がならない原因はいくつかありますが、多くは次の3つが考えられます。

  1. 木が若すぎる
    植えつけから3年までは、花を咲かせても実を大きくさせる力はありません。未熟な実は摘果し、木を丈夫に育てましょう。
  2. 葉が少ない
    光合成を活発に行うことができず、実をつけるための力を蓄えられません。剪定しすぎないこと、害虫に葉を食べられないように注意しましょう。
  3. 肥料が不足している
    良い実をつけるためには肥料は欠かせません。葉の色が薄くなっていると肥料が不足しているサインなので、即効性の高い液体肥料を与えましょう。

レモン栽培のまとめ


レモンは鉢植えで室内でも十分に育てられます。ご自宅でレモンを育てれば、安心安全の無農薬レモンを果皮ごと食べられますね。

実を収穫するだけではなく、レモンの木は観葉植物としても楽しめます。様々な楽しみがあるレモン栽培、みなさんもチャレンジしてみてください。